頭痛という症状自体は、誰もが経験するものといっていいでしょう。
ただ、頭痛と一口にいっても痛む場所というのはいろいろあるものです。
頭のてっぺんが痛むこともあれば、後頭部が痛むこともあるでしょう。
中でも右側に痛みを感じているという方は多いのではないでしょうか。
多くの方が右利きということを考えれば、聞き手側が痛むということで余計に気になってしまうかもしれません。
ここでは、頭痛で右側が痛いときに考えられる病気についてご紹介していきましょう。
偏頭痛
頭痛で右側が痛いときにまず考えられるのが偏頭痛です。
偏頭痛は「片頭痛」と表記されることもあり、文字通り片方のみに頭痛が起こる傾向にあります。
もちろん、片方だけではなく、両方に頭痛が出る場合もあるのですが、どちらかというと片方に出ることのほうが多いようです。
偏頭痛の場合、その痛みというのは脈打つような感じになります。
脈拍に合わせて、ズキンズキンと比較的激しい痛みを伴います。偏頭痛が起こっているときというのは、血管やその中を流れている血液の存在感がかなり大きくなる傾向にあります。
ただ、人によってはあまり脈打つ感じがないということもありますので、個人差はあります。
一度偏頭痛が起こると、その痛みが持続することになります。
頭痛だけでおさまることもあれば、吐き気を催すこともあり、実際に嘔吐してしまう方も少なくありません。
光や音に過敏になることもあり、特に音は耳から直接脳に響くような感覚があります。
偏頭痛の原因というのは、本当にさまざまです。
ストレスはもちろん、睡眠不足や過労、気温差、人混み、お酒なども原因となってきます。
特に、女性の場合には生理前や生理中に偏頭痛を訴える方が多く、ホルモンバランスの影響で偏頭痛が起こることもあるのです。
偏頭痛の場合、頭痛薬で対処する方も多いのですが、それでは根本的な解決にはなりません。
偏頭痛の根本的な原因というのは、本人の生活習慣にあることも珍しくありません。
一時的な対処ではなく、偏頭痛が起こりにくくなるように努めていくべきです。
そのため、生活習慣の見直しや改善というのも重要になってきます。
最近では運動不足から偏頭痛となっている方もいるようです。
適度な運動はストレス解消にもなりますし、それによって睡眠不足を解消することも可能になってきます。
ストレスによって睡眠が不十分になり、疲労感が残ったまま1日を過ごすという悪循環に陥っている方もいますので、どこかでその悪循環を断ち切らなければいけません。
適度な運動はストレス解消にもなりますし、ストレス解消と運動による適度な疲労感で睡眠の質も向上していくでしょう。
運動不足を自覚している方は、少しずつでいいので体を動かすように心がけていきたいものです。
群発頭痛
群発頭痛は、男性に多い頭痛です。
目がえぐられるような激しい痛みを感じるのが特徴になっているのですが、この群発頭痛によって右側だけが痛くなっていることもあります。
だいたいこめかみから目の周りが激しく痛むことになります。1日の中で痛む時間というのはそう長くはないのですが、じっとしていられないほどの激しい痛みを感じることになります。
自分の意思とは関係なく涙が出たり、鼻水が出たりすることもあります。あまりの痛みに、頭を壁に打ち付けるような方もいるほどです。
偏頭痛などに比べると、群発頭痛というのはそう多くありません。
そのため、いまだに原因もハッキリとはしていません。
ただ、お酒やタバコが群発頭痛を誘発することもありますので、お酒やタバコは極力控えるようにしましょう。
お酒やタバコ以外のものが群発頭痛を誘発することもありますので、誘発すると思われるものはとことん避けるようにしていくしかありません。
顎関節症
頭痛で右側が痛い場合、顎関節症になっている可能性もあります。
顎関節症に関しては、比較的よく見聞きするのではないでしょうか。
顎の関節や筋肉に異常があると、こめかみあたりに痛みを感じるようになります。左右両方に感じることもありますし、左右のどちらか一方に感じることもあります。
噛み合わせや筋肉の左右のバランスといったものが原因になるのですが、場合によっては心理的なストレスも原因となります。
ただ痛いというだけではなく、咀嚼するときの筋肉の痛みや関節の音、口が大きく開かないといった症状が起こることもあります。
顎関節症を改善するためには、柔らかいものばかりを食べないこと、左右どちらかの歯で食べ物を噛む癖をなおすことなどが挙げられます。
柔らかいものだけではなく、かたいものも食べ、左右の歯の両方でバランスよく咀嚼していくようにしましょう。
心理的なストレスも顎関節症の原因になるのですが、これはどういうことかというとストレスによって顎に力が入ってしまったり、寝ている間の歯ぎしりをしてしまったりするのです。
ストレスの原因がわかっているのであればその原因を排除し、それができないのであれば自分なりのストレス解消法を見つけていきましょう。
側頭動脈炎
頭痛で右側が痛い場合、側頭動脈炎の可能性もあります。
側頭動脈炎は、55歳以上の方に起こるとされている病気です。
側頭部や首の血管に炎症が起こります。原因はハッキリとしていないのですが、55歳以上の方はそういう可能性があるということを頭に入れておくようにしましょう。
症状としては、側頭部や後頭部の痛みや発熱、疲労感、倦怠感、体重減少、発汗などが挙げられます。
側頭部や後頭部の痛みが右側に出ることによって、頭痛で右側が痛いと感じるのです。
緊張型頭痛
緊張型頭痛というのは、筋緊張性頭痛と呼ばれることもあります。自律神経失調症に似ている病気としても知られています。
頭から首や肩にかけての筋肉が緊張することによって起こる頭痛です。筋肉が緊張すると血流が悪くなり、疲労物質が筋肉にたまるようになります。
これによって、神経が刺激されてしまい、頭痛が起こるのです。
筋肉の疲労や運動、姿勢の悪さといったものから来ることもあれば、精神的なストレスで体に力が入ってしまうことによって起こることもあります。
最近では「スマホネック」と呼ばれるような症状もありますが、これもまさに緊張型頭痛を引き起こすものです。
スマートフォンを見ているときというのは首が前に屈んだ状態になります。
それが長時間続くと、首の筋肉が緊張してしまうのです。
パソコンなどを扱うときも同じで、多くの方が筋肉がより緊張しやすい姿勢というものをとっているのです。
緊張型頭痛に関しては、緊張している筋肉をほぐすことによって改善が期待できます。
日常的に適度な運動をすることはもちろん、筋肉を温めてほぐしていくというのもいいでしょう。
普段湯船につかる機会がないという方は、ゆっくりと湯船につかってみましょう。それだけでも違ってくるはずです。
三叉神経痛
頭痛で右側が痛いとき、その痛み方がピリピリした感じやチクチクする感じであれば、神経痛かもしれません。
三叉神経痛は、顔の感覚を司る三叉神経が刺激されることによって起こる神経痛です。
右側の同じ位置で数秒から数十秒間ほどのピリピリした感じ、チクチクとした感じがいつも起こるということであれば、三叉神経痛の可能性が高いでしょう。
歯磨きなどの日常的な動作をきっかけに痛みを感じることが多いのもひとつの特徴です。
ちなみに、帯状疱疹も三叉神経痛と似たような症状となります。
三叉神経痛のような症状でも三叉神経痛でないという場合には、帯状疱疹の可能性を考えたほうがいいでしょう。
緑内障
頭痛とはまったく関係なさそうに思えるのですが、右側が痛むという場合には緑内障の可能性もあります。
右側の頭痛だけではなく、目の痛みも症状として出てきます。
緑内障に関しては、ご存知の方も多いでしょうが、眼球の圧力が上がることによって目の神経が傷つき、目が見えにくくなるという病気です。
その中でも急性緑内障発作が起こると、急に目が見えにくくなるだけではなく、充血や頭痛、吐き気といった症状も出てくるようになります。
急性緑内障発作による頭痛の場合には、目の奥やこめかみに強い痛みを感じることになります。
後頭神経痛
頭痛で後頭部の右側が痛む場合、後頭神経痛であることもあります。
文字通り、後頭部を入っている神経が刺激されることによって起こる頭痛です。
後頭部の頭皮や表面が数秒から数十秒ほど、ピリピリとした感じ、チクチクとした感じで痛むのが特徴です。
痛みを感じるだけではなく、なんとなく違和感が持つ方も多いようです。
そこまで長引く症状ではありません。数日から1週間ほどで症状は引いてくるでしょう。
緊急性のある場合もあるので注意が必要
頭痛で右側が痛む場合、放置していても自然と引くものも少なくありません。
しかしながら、緊急性のあるものもあります。
例えば、突然頭痛が始まった、今まで経験したことがないような激しい頭痛、いつもと違う頭痛、痛みがだんだん強くなっている、
50歳以降で初めて発症した頭痛、手足に異常がある、うまく話せない、意識が朦朧としている、変なことを口走ってしまう、
がんや免疫不全の状態であるといった場合、放置するのは危険と考えたほうがいいでしょう。
命を左右することもありますので、然るべきところで検査を受けるようにしましょう。