頭痛とストレスの深い関係

人間は生きていれば、大なり小なりのストレスを受けることになります。

ストレスは目に見えないものですが、確実に体や心への影響を及ぼすものです。

一般的にストレスというと自分にとって嫌な出来事によって受けるものというイメージがあるかもしれませんが、

意外なことに自分にとって嬉しい出来事でもストレスを受けることがあるのです。

結局、生きている以上はストレスからは逃げられないのです。

そのストレスはさまざまな症状を引き起こすのですが、その中で代表的な症状が頭痛なのです。

なぜストレスによって頭痛が起こるのか

ストレスが体や心に影響を及ぼして、さまざまな症状を引き起こすというのはご存知かと思います。

その症状の代表的なものとして頭痛が挙げられるのですが、そもそもなぜストレスによって頭痛が起こるのでしょうか。

ストレスによる頭痛の原因というのは、ストレスホルモンの乱れと自律神経の乱れによるものだと考えられています。

ちなみに、ストレスホルモンは「副腎皮質ホルモン」と呼ばれることもあり、こちらの呼び方のほうが馴染みがあるという方もいるかもしれません。

ストレスホルモンは、副腎皮質から分泌されるホルモンのことです。コルチゾールなどのホルモンがまさにストレスホルモンにあたります。

これは一種のステロイドで、ステロイドとしての作用を働きかけることになります。

ステロイドの作用には、体液量を増やし、血圧を上げるといったものが挙げられるのですが、ストレスを受けたときには人間の体の中でまさにそのような作用が働いているのです。

ストレスを受けると、人間の体というのはただストレスを受けっぱなしの状態になるわけではありません。

ストレスを受ければ、そのストレスに対抗しようとするものです。

その結果、ストレスホルモンが分泌され、その作用で血圧が上がります。

例えば、非常に腹立たしい出来事があったとして、そのときに頭にカーッと血が上ると、まさに血圧が上がっている状態になります。

このような脳の血圧上昇に伴って、血管の拡張や収縮が起こり、それによって脳の血液量は増えていきます。

これが頭痛を引き起こすのです。
また、自律神経系の乱れも頭痛を引き起こします。自律神経は全身にありますので、当然、頭にも自律神経はあるのです。

交感神経と副交感神経については見聞きしたことのある方も多いでしょうが、

通常、リラックスしている状態であれば自律神経系の中でも副交感神経が優位になり、活性化しているものです。

この状態であれば、頭の神経もリラックスしていますし、頭の筋肉も緩んでいるものです。

リラックスしているときには体から力が抜けるような感じがありますが、まさにそれと同じです。

しかしながら、ストレスがかかると副交感神経ではなく、交感神経が優位になり、活性化します。

交感神経は緊張系の神経になりますので、筋肉も緊張して収縮します。

当然、頭の筋肉も収縮しますし、それによって頭が締め付けられるようになります。これが頭痛を引き起こすのです。

ストレスで起こる頭痛の種類

頭痛にもいろいろな種類があるのですが、その中でもストレスで起こる代表的な頭痛としては偏頭痛と緊張型頭痛が挙げられます。
偏頭痛はストレス以外でもいろいろな原因で起こる頭痛なのですが、ストレスから偏頭痛を起こしている方というのは思っている以上に多いものです。

ストレスに加えて、疲れている、睡眠不足気味であるといったことがあると、さらに偏頭痛が起こりやすいと言われています。

偏頭痛は脳の血管が拡張することによって、その周りの神経を刺激してしまうため起こるとされています。

脈拍に合わせてズキンズキンと痛むことが多く、その痛みは比較的激しいものです。

痛む場所というのは人によって違うのですが、こめかみなどに痛みを感じる方が多いようです。

偏頭痛が起こる前にはその前兆として視界に光がちらつくということもあります。

ただ、この前兆というのは必ず起こるものではありません。

人によっては前兆がなく、いきなり偏頭痛が起こることもあります。

吐き気を伴い、実際に嘔吐してしまうケースも少なくありません。

血管の拡張を抑えることが症状を抑えることにつながってきますので、痛む場所を冷やすのが効果的だと言われています。
緊張型頭痛は、筋肉の緊張によって起こる頭痛です。筋緊張性頭痛と呼ばれることもあります。

ストレスによって、首や肩、頭の筋肉が緊張することによって起こります。

筋肉の緊張によって起こるので、締め付けられるようなじわじわとした痛みが特徴になってきます。

頭痛だけではなく、肩や首のコリも伴うことが多い傾向にあります。

長時間同じ姿勢でいることが多い、パソコンや携帯電話、スマートフォンを扱う時間が長いといった方は肉体的なストレスから緊張型頭痛になることもありますし、

嫌な出来事があったなどの精神的なストレスから緊張型頭痛になることもあります。

筋肉の緊張をほぐすことによって症状が和らぎますので、緊張型頭痛の場合には温めると効果的だと言われています。

ストレスによる頭痛の対処法

ストレスによる頭痛の対処法ということですが、まずはストレスの原因となっているものから離れるということが挙げられます。

とある場所がストレスとなっているのであればその場所には行かないようにする、ある人がストレスとなっているのであればその人には会わないようにするといったことが大切です。

ただ、仕事の関係でそうすることができないということもあるでしょう。

しかしながら、それでも少しでも距離をとるようにする、接する時間を減らすということを実践していくことが大切です。

距離を置き、それを実践するだけでも多少が違ってくるはずです。

ストレスから十分な距離を置くことができない場合、ストレスがたまらないように発散方法を見つける必要があります。

一般的なストレス発散法というと、カラオケで歌いまくる、ゲームセンターに行く、ショッピングをする、おいしいものを食べるといったことが挙げられますが、

基本的に自分が心から楽しいと思えることか副交感神経を優位にできることを実践していけばそれでOKです。

自分が心から楽しいと思えることというのは人それぞれですが、せっかくなら楽しいと思えることの中でも健康的なものを選ぶようにしたいものです。

副交感神経を優位にできることというのは、簡単に言えばリラックスできることをすればいいのです。

家でゆっくりと過ごすのもいいでしょうし、ゆっくりとお風呂につかるのもいいでしょう。

とにかく、心も体も緩められるようなことを実践していきましょう。
また、自分の中のスイッチを意識するのも大切なことです。

仕事モードのときにはバリバリと何でもこなしていくのに、自宅モードになると驚くほどマイペースといった方もいるかと思いますが、

まさにこれは自分の中のスイッチによって切り替えをおこなっている良い例です。

緊張しているときに優位になる交感神経とリラックスしているときに優位になる副交感神経の切り替えがうまくできるようになると、それだけでもストレス対策になります。

ストレスを受け続けている方の中には、常に緊張状態が続いてしまって、この切り替えができなくなってしまっている方も少なくありません。

仕事をしている方であれば通常は仕事中に交感神経が優位になって、仕事が終われば副交感神経が優位になるのです。

しかしながら、緊張状態が続くと仕事中も交感神経が優位で、仕事が終わっても交感神経が優位のままになってしまうのです。

この状態が続ければ、それこそ毎日のように頭痛に悩まされることになるでしょう。

そうならないためにも、スイッチを意識することが大切なのです。

難しいかもしれませんが、仕事が終わったら仕事のことは一切考えないといったところから始めていきましょう。
あとは、生活習慣の改善も対処法になってくるでしょう。

ストレスによって、生活習慣というのは乱れやすくなります。

ストレスからの過食ややけ食いによって食生活が乱れることもありますし、睡眠不足となることもあります。

タバコを吸う方であればタバコの本数が増えるでしょうし、お酒を飲む方であればお酒の量も増えるでしょう。

本人としてはストレスへの対処という形でこういうことを実践しているのかもしれませんが、これが続くとなると体にもよくありませんし、

むしろ頭痛を悪化させてしまう可能性も出てきます。

自分なりのストレス解消法を見つけることは大切ですが、健康面を無視したストレス解消法というのはやはりいただけません。

ストレスによる頭痛が起こっているからこそ、健康的な生活というものを心がけて、実践していくべきなのです。

栄養バランスを考えて1日3食規則正しく食べることはもちろん、できるだけ同じ時間に寝るようにして十分な睡眠時間も確保するようにしましょう。

タバコやお酒を好んでいる方であれば、極力控えるようにしましょう。

特に、タバコやお酒というのは頭痛を誘発することも少なくありません。

頭痛を改善したいのであれば、これを機会に禁煙や断酒というものを考えてみてもいいのではないでしょうか。

こういった生活習慣の改善をおこなっていくことによって、ストレスによる頭痛を和らげることができるでしょうし、少なくとも頭痛が今以上に悪化することはないはずです。