自律神経失調症の原因と対策

自律神経失調症となる5つの原因

自律神経失調症の原因は、生活の中に潜んでいます。原因を大別すると全部で5つ。
さらに分類すると、内的原因が2つ、外的原因が3つとなります。
これから原因について、一つひとつ解説していきます。
ご自身がどれに当てはまるかチェックしながら読み進めてください。

2つの内的原因

体質

生来、身体が弱く自律神経の働きが芳しくない方がいます。
たとえば、低血圧、多汗症、虚弱体質な方がそうです。
肉体面だけではなく、ストレス耐性も人によってまちまちです。
満員電車に耐えられない人もいれば、毎日でも平気な人もいます。
生まれ持った体質、ストレス耐性などを過去の経験から知っておくことは大切です。
また女性の場合、月経や妊娠・出産によるホルモンバランスの変化が自律神経に影響を与え
ます。

一般的に50歳前後に訪れる閉経によるホルモンバランスの変化は、自律神経に大き
く影響します。この時期、自律神経失調症になる女性は多いです。

体質について、もう少し深く言及しておきましょう(ほかではあまり聞けない内容です)。
実は、一人ひとり身体の使い方には癖があります。体重の乗せ方や身体のひねり方、筋肉の
伸び縮みなどがそうです。これらを「体癖」と呼びます。
「体癖」は、分類すると12種類あります。

同じ体癖で長年生活していると、体調に影響が出てきたり、病気の原因になったりします。
例えば、同じ風邪でも、人によって経過や症状の表れ方が違うのは、体癖が異なるからで
す。「様々な治療を試みたけれど、自律神経の不調が治らなかった」という方は、もしかし
たら体癖に原因があるかもしれません。一度、調べておくといいでしょう。

ご自身の体癖を調べたい方は、こちらをクリック

性格

性格は、ストレスの受け方に大きな影響を与えます。
たとえば、ポジティブな人はストレスが少なくて済みますが、一方でネガティブな人はスト
レスを多く抱えてしまいます。神経質な人、責任感が強い人などもそうです。大ざっぱな人
や神経の太い人、無責任な人などに比べるとストレスを抱えやすいです。

もちろんこれらは一つの個性であり、悪いことではありません。しかし、度が過ぎると抱え
なくてよいストレスを多く抱えるようになり、自律神経を乱す原因になります。ストレスか
らくる自律神経失調症は、うつ病やパニック障害、メニエール病などの引き金となることも
あるため、注意が必要です。

3つの外的原因

生活習慣

昼夜逆転した生活は自律神経を乱します。自律神経は太陽光と深く関係しているからです。
人は午前中(11時まで)の太陽光を20分~30分浴びることにより「セロトニン」が分泌さ
れ、これにより自律神経が整えられて、夜ぐっすり眠れるようになります。セロトニンの作
用はそれだけではありません。意識をスッキリさせ、集中力を高めたり、イライラなどのネ
ガティブな気分も解消してくれます。

暴飲暴食や偏った食生活もまた自律神経を乱します。
満腹後眠くなるのは、「胃に血液が多く流れ、脳に血液があまり流れなくなるから」と言わ
れていますが、そうではありません。満腹になることで、緊張モードの交感神経からリラッ
クスモードの副交感神経に切り替わるためです。満腹度が大きければ大きいほど、交感神経
から副交感神経への揺れ戻しが大きくなり、強烈な睡魔に襲われるのです。ここで寝てしま
うと、夜眠れなくなるため、自律神経を乱す原因になってしまいます。

 

身体的ストレス

夏場、エアコンが効いた部屋に入り、外気との温度差によって体調を悪くされた経験はあり
ませんか。それは自律神経の乱れからきたものです。

人間の身体は、気温が高ければ副交感神経の働きによって体内の熱を外に出そうとします。
しかし、エアコンによって身体が冷やされると、今度は反対に体温を逃がさないように交感神経が働きます。
これを繰り返していると、手足の冷えや頭痛、だるさ、腰痛、便秘、下痢といった症状が表れてきます。
「クーラー病」です。

季節の変わり目による温度変化や、気圧の変化によっても自律神経は乱れます。
季節の変わり目になるとうつ病を発症する人が増える、と言われているのはこのためです。
身体はこうした外からのストレスを敏感に感じているのです。

加えて、パソコンやスマホも自律神経を乱す原因になります。
パソコンやスマホは、今やなくては困るアイテムの一つですが、
画面から発せられるライトが自律神経を乱してしまうのです。

特に、副交感神経が優位の時間帯(夜)にライトを浴びると、交感神経が強く刺激され、睡眠に悪影響を及ぼします。
それだけではなく、パソコンやスマホは、使用中に同じ姿勢を維持するため、首や肩に負担をかけています。
首は、脳へ神経と血管を繋いでいる重要な器官です。
負担がかかれば、自律神経にも悪影響を及ぼします。最近は、こういったパソコンやスマホによる自律神経の乱れに警鐘を鳴らす人も増えてきました。

 

参考
『「スマホ首」が自律神経を壊す』(著者 松井孝嘉)
『自律神経が弱っている人は9割は首がこっている』(著者 青坂一寛)

 

精神的ストレス

怒りや悲しみ、心配や恐怖といった情動を抱えたとき、食欲減退や胃腸への違和感を覚えた経験、あなたもあるはずです。
これは、自律神経の乱れから起きる現象です。それだけダイレクトに、精神的ストレスは自律神経に影響を与えるのです。

精神的ストレスからくる自律神経の乱れは、様々な精神疾患を引き起こします。
自律神経失調症を始め、うつ病やパニック障害などがそうです。

現在、自律神経失調症と診断された人は全国で約65万人、潜在的に抱えている人はその10倍以上(600万人)とも言われています。
同じく、ストレスが原因で発症するうつ病も年々増えており、
平成8年に43.3万人だったのが、18年後の平成26年には111.6万人と2.6倍にも増加しています。
それだけ現代人はストレスにさらされているのです。

現実問題、すべてのストレスから逃れることはできませんが、身体に不調をきたすようであれば、
できるだけ避ける、受け流す、回復させる方法などを知っておくといいでしょう。

自律神経失調症の症状の表れ方

自律神経失調症になると、様々な症状が表れます。
たとえば、めまい、頭痛、手足のしびれ、冷え、顔のほてり、動悸、下痢、便秘、胃腸不調、不眠、朝起きられないなどです。
なぜ、各所に症状が表れるのでしょうか。
それは、自律神経が身体の器官を司っているからなのです。

以下の表をご覧ください。

自律神経の働き

表1

交感神経副交感神経
瞳孔拡大する縮小する
涙腺分泌が減る分泌が増える
気管広げる狭くする
心臓速く打つ遅く打つ
血管収縮する拡張する
血圧上昇する降下する
胃・腸抑制される促進する
消化液分泌が減る分泌が増える
膀胱ゆるむ縮む(排尿)
陰茎血管が収縮する血管が拡張する(勃起)
立毛筋縮む(鳥肌)ゆるむ

このように、自律神経は各器官の働きに大きく関与しています。自律神経が乱れるとどのよ
うな症状が現れるのか、一覧にしました。以下の表をご覧ください。

症状一覧

自律神経失調症の症状

表2

頭痛・脱毛
目の疲れや乾き、まぶしさを感じる
肺・気管息苦しくなる・息切れ
心臓動悸・胸部の圧迫感
筋肉肩コリ・脱力感・筋肉痛・関節痛
胃・腸食欲不振・吐き気・下痢・便秘・ガスが貯まる
膀胱頻尿・排尿障害・残尿
陰茎勃起障害・生理不順
皮膚多汗・かゆみ・痛み
精神不安、不眠、イライラ、倦怠感
病名起立性調節障害・過呼吸症候群・過敏性腸症候群・メニエール症候群・更年期障害・迷走神経反射・うつ病

自律神経失調症の対策

では、乱れた自律神経をどのように回復させていけばいいのか、
また、自律神経を乱さないためには、何をすればいいのかについてご紹介していきます。

対策(内的)

体質

元々身体が弱い方は、運動と食事を意識するといいでしょう。
まずは、運動について。身体と自律神経は連動しており、身体を動かすことによって自律神経を整えることができます。
運動と言っても激しい運動をする必要はありません。軽いウォーキングだけでもいいのです。
ほかに有効だと言われているのが、深呼吸やヨガ、ストレッチです。
WEBや書店を覗けば、これらに関する情報はすぐに手に入ります。

次いで、「体癖」の測定・修正も大切です。
原因編でもお伝えしましたが、人はそれぞれ身体の使い方には特有の癖(体癖)を持っています。
もし、体癖が自律神経を乱す根本的な原因ならば、ほかのどんな対策をしても改善は見込めません。
体癖を測定して修正(野口整体)してくれる整体院に通えば、体癖からくる自律神経の乱れを治すことができます。

 

最後に食事です。
自律神経を整えるのに有効な栄養素は、ビタミンB群です。ビタミンB群は、自律神経を整える働きがあり、
ストレスを感じると消費されてしまう栄養素なのです。
ビタミンB群の中でも、ビタミンB2は特に大切です。
豊富に含む食材は、納豆・レバー・卵・大豆・アサリです。

また、女性特有のホルモンバランスの崩れには、豆乳とローヤルゼリーがお勧めです。
豆乳に含まれるイソフラボンは、女性ホルモンと似た働きがあります。
そのため、更年期の女性ホルモンの欠乏からくる自律神経の乱れを助けてくれます。
ローヤルゼリーに含まれる「デセン酸」にも、女性ホルモンと似た働きがあります。
「アセチルコリン」という物質も入っており、これがホルモンバランスを整える働きがあるのです。
特に更年期のホルモンバランスの崩れを鎮めてくれます。
ちなみに、豆乳とローヤルゼリーは、美容効果も高いです。

性格

ストレスを溜めやすい性格の方には、様々な心理療法があります。
「カウンセリング/交流分析/構造分析/やり取り分析/脚本分析/筋弛緩法/自律訓練法/認知行動療法/内観法」などです。
カウンセリングや交流分析は、他人の手が必要ですし、時間とお金もかかります。
ほかの治療法も相性などの問題があり、即効性や効果についても絶対ではありません。

しかし、自分の性格(考え方や捉え方)に原因があると思うのなら、
多少、時間やお金をかけてでも自分に合った療法を見つけたほうがいいでしょう。

心理療法を通じて、
「過度にストレスを抱えない・ストレス耐久を上げる・ストレスを受け流せる」ができるようになれば、ストレスに強くなれるでしょう。

対策(外的)

生活習慣

まずは、朝11時までの太陽光を浴びることができる生活リズムにしましょう。
起きる時間を決め、そこから逆算して就寝時間を決めます。
朝7時に起きたいのなら、就寝時間は23時30分(睡眠時間が7時間半の場合)になります。
そして今度は、ここから入浴時間を決めます。
身体は、入浴してから90分かけて交感神経から副交感神経に切り替わっていくため、
23時30分に就寝するのであれば、入浴は22時にするのがベストと言えます。

※入浴後、刺激の強い活動はしないでください。
※入浴の水温は38~40度、時間は25分前後が良いです。
※ホットミルクを飲むのも効果的です。

食事は、暴飲暴食は避け、腹八分目にしてください。
お腹がいっぱいになり、中途半端な時間に寝てしまうと今度は夜眠れなくなります。
また、アルコールやカフェインも睡眠の質を下げるため、できるだけ控えてください。
ニコチンも交感神経を刺激するため、寝る前の煙草は控えましょう。

身体的ストレス

季節の変わり目は、温度や気圧の変化が激しいため、服装には注意を払ってください。
夏や冬の厳しい寒暖の日は、場合によっては外出を控えましょう。
気温は、ダイレクトに自律神経に影響を与えるため、できる限りの対策が必要です。

パソコンやスマホもほどほどにしましょう。
身体にはすぐに影響が出ないため、自覚することはあまりありませんが、画面から発せられるライトは着実に自律神経を乱しています。
特に、副交感神経に切り替わっている夜、就寝前の使用は極力控えてください。

また、同じ姿勢で使用するパソコンやスマホは首や肩へ負担をかけます。
先述したように、首や肩への負担は自律神経を乱す原因となります。

眼や後頭部に蒸しタオルをするなどの対処法が有効です。
凝った部分を強く揉んでマッサージするとその時は気持ちが良いかもしれませんが
後になって逆に凝りが悪化することが多いのでお勧めしません。

精神的ストレス

外から受ける精神的ストレスに原因があると思う場合は、できる限りその原因から離れるようにしましょう。
とはいえ、そう簡単にはいきませんよね。
仕事上のストレスが原因であれば、仕事を辞めるか、部署移動を嘆願しなくてはいけません。
家庭内の問題がストレスの原因であれば、これもまた離れるのは難しいものです。

ですが、精神的ストレスを溜め続けて精神状態に異常をきたしてしまえば、それこそ働くことも難しくなってしまいます。
うつ病をはじめとして精神疾患には、一度患ってしまうと一生付き合っていかなくてはならないものもあります。
今、自分が受けているストレスは一時的なものなのか、それとも延々と続くものなのか。
しっかりと判断をしてください。

ストレスは避けるほか、発散させることも大切です。
ストレスに強い人は、このストレスの発散が上手な人とも言えます。
仕事を終えた後に楽しむ趣味があったり、休みの日に思いっきり羽を伸ばすなど、上手に一週間のストレスを発散しています。

今まで一番ストレスが発散できた活動は何ですか?
思い出して生活に取り入れてみるのもいいかもしれませんよ。

以上、自律神経失調症の原因を分類し、それぞれにあった対策をご紹介しました。
原因が一つではなく、複数あることもあるでしょう。
そういった場合は、それぞれの対策を同時に行うようにしてください。

まとめ

現代社会、自律神経は乱れやすい環境にあります。
自律神経失調症にならないためにも、自律神経について理解を深め、日頃から意識していくことが大切です。
その一助になればと思い、記事を執筆させていただきました。
参考にしていただければ幸いです。